ビデオオトスコープ
犬と猫の耳のはなし
犬や猫の耳は、私たち人間と同じように「音を聞く」ための器官ですが、耳は周囲の音を感じ取るだけではなく、「体のバランスを保つ」という大切な役割もあります。
耳は大きく「外耳」、「中耳」、「内耳」の3つの部分に分かれています。このうち耳の入り口から鼓膜までを外耳といいますが、犬や猫の外耳は私たち人間と違い、L字型に曲がっているため、湿気や耳垢がたまりやすく、一度炎症が起きると治りにくいという特徴があります。外耳に炎症が起こった状態を「外耳炎」といい、動物病院で最も多くみられる疾患の一つでもあります。
こんな症状は要注意!外耳炎のお話
外耳炎は先程述べたように、よくみられる疾患の一つであり、特に垂れ耳や、耳の中の毛が多い、アレルギー体質の犬や猫に発症しやすいことが知られています。
症状としては、耳を痒がる、頭を振る、耳を床や家具にこすりつけるなどの行動がみられます。また、耳が赤くなったり、臭いが強くなったり、茶色や黄色の耳垢が増えたりすることもあります。そして炎症が進行すると、耳を触られるのを嫌がったり、強い痛みを感じたりするようになります。
外耳炎の原因ってなに?
外耳炎は単なる耳の汚れが原因ではありません。
アレルギーや体質、細菌などの増殖、寄生虫、異物、腫瘍など様々な要因が関係して発症します。また、炎症が何回も起こると耳の皮膚が厚くなり、耳の穴が狭くなってさらに治りにくくなるという悪循環に陥ります。
重症化した場合は、中耳や内耳にも炎症が広がり、顔の麻痺や平衡感覚の異常を引き起こすことがあります。
そのため、外耳炎では今起きている炎症を治療するだけではなく、なぜ外耳炎になったのかという原因を見つけ、再発を防ぐためのケアを行うことが大切です。
特にビデオオトスコープを用いることで、肉眼では見えにくい耳の奥や鼓膜の状態を詳しく確認することができます。
ビデオオトスコープってどんな検査?
ビデオオトスコープとは、カメラ付きの細い機械を使って耳の奥まで観察できる、言わば耳の内視鏡です。
耳の奥まで観察することができるため、耳垢や炎症の程度、異物や腫瘤の有無を正確に把握することができます。さらに、耳を観察しながら安全に洗浄や処置を行うことができるため、診断の精度を高めるだけではなく、適切な治療につなげるうえでも重要な検査です。
どんな時に行うの?
- 耳を頻繁にかく。
- 耳が赤く、腫れている
- 外耳炎を繰り返す
- 耳に異物が入った可能性がある。
- 耳にできものがある。
- 首を傾ける、ふらつく。
どといった症状がみられた時に、行う場合があります。
メリット
- 耳の奥まで鮮明に観察できるため、見えない部分の炎症や病変を正確に評価できます。
- 耳への負担を抑えた低侵襲な処置を行うことができます。
- 耳の観察と同時に治療することができます。
デメリット
- 全身麻酔が必要なため、麻酔リスクがあります。
- 処置後、一時的な神経症状が出る可能性があります。
- 症状によっては、複数回実施する可能性があります。
症例
- 猫 6歳 メス
- 数年前から外耳炎を繰り返す。
近医にて耳道内腫瘤を指摘され、当院を受診。
オトスコープを行い、耳道内の腫瘤を切除。
病理検査で耳粘膜下組織炎と判明。 -
耳粘膜組織炎とは?
長期間耳の炎症が続くことで耳の粘膜が腫れて厚くなった状態。
見た目だけでは、腫瘍との区別がつかないため、必要に応じて組織を採取して詳しい検査(病理検査)を行います。






